満足そうに王が入ったので
下僕も後を追う。

さりげなくカゴを持ち
背中越しにこっそりと
彼の斜め向かいに立つ。

トイレットペーパーの価格に驚きつつ、背中に意識を集中。

王は雑誌を立ち読み中。
よっぽど文字が好きなのか
ヒマなのか
家に帰りたくないのか
お散歩が好きなのか
気まぐれな猫みたい。

軽く聴こえた笑い声に身体をビクつかせ、私は彼の先を歩いてコミック本の棚に移動。

そしてチラ見。

王は雑誌コーナーから離れ、私の背中を通り過ぎてからダイエットコーラを買い、パンを何種類か買い、レジであんまんをひとつ追加して店を出る。

「お疲れ様でした」

小さく小さくつぶやいて

王を見送り頭を下げる。


今日は

ここまでにしよう。


私はあんまんをひとつ買い
図書館の駐車場に戻る。


また

会えるかな。


車に寄りかかりながらあんまんを頬張り、家に帰りたくない自分と闘う。