この町の図書館は
ちょっと
お金がかかってる。

広く明るく種類も沢山。
新書コーナーは
大型書店のように綺麗に表紙が並び、その前で初老の女性がふたり立っていた。

私もそっと近寄りその中に入る。

無言で三人並び
ウロウロと交差する

ゆっくりと交差する。

いつも思う
みんな
本を選びながら真剣に前を向いて、ゆっくり移動しているのに、なぜぶつからないのだろう。

同じ動きで
同じスピードで
他の人を邪魔せず
ゆっくりと目で本を追い
たまに手に取り私達は動く。

マクベスの三人の魔女のように
動きも同じく
同じものを見てゆらゆら動く

図書館マジック。

ふと我に返って笑い
新書の棚を飛び出した。

変な邪念がある時は
ツボにはまって
ローテーションを崩しそうになるから、また後から来よう。

時間は

まだある。