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「先生、このあいだ教えてもらった本、とってもおもしろかったです」
 
授業を終え、教室を出たところでひとりの女子生徒に声をかけられた。


「ほんとう? 良かった。あれ、わたしもお気に入りなの」
 
そう答えていくつかことばを交わす。

同じ作者だったらあれがいい、似たようなテーマだったらこれもおすすめ。

そんなわたしのことばを彼女は楽しそうに聞いてくれて「また寮の図書室で探してみます」と言ってくれた。
 

彼女の寮の寮長なら、きっと揃えていてくれるはずだ。

 
彼女と別れ、職員室へと向かうと渋い顔をしたヤマギワに出くわした。

もういい加減引退したらいいのに、と思うけれど、相変わらず生徒指導の椅子に座り続けている。