ふと顔を上げると、そこは変わらず屋上だった。
だけど先ほどまでと違うのは、そこには“あたし”が居て、そしてあの人も、八坂昴流も居るってこと。
その光景はまるで、あの日のよう。
夢でも、見ているのだろうか。
『さっきからずっと、きみを呼んでた。きみには聞こえなかったみたいだけど、ずっと。だけどついさっき、その呼び声も止んだ』
あたしは今、“ここ”に居る。
ここがどこかもわからないけれど。
だけどこれが夢ではないのなら。
『きみが決してやらなかったこと…できなかったことを、陽太はやろうとしているみたいだよ』