彼には『お大事に』と一言だけ返しておいた。

でもなんとなくだけれど彼が風邪でダウンしているということは、少なくとも彼の食事の際の逃避癖は、今日は収まる気がした。

ようはこの入れ替わりが彼の気持ち次第なのだとしたら、今はそれどころじゃないだろう。

1日寝ていてくれれば、ある意味平和で良いのに。
その方がお互いの為にも、良い気がした。

『ぼくの弱さと狡さがすべての元凶なんだ』

昨日の彼の言葉を思い出す。

あたしは、逃げることが悪いことだとは思わない。
狡いことだとも思わない。
弱いことだとしても、それは彼の責じゃない。

逃げられるのなら、逃げた方が良いに決まっている。

この世界の理不尽に、押し潰されてしまう前に。