◆ ◇ ◆


しばらく家族共用の携帯を、あたしが持つことになった。

朔夜の一声からで、あたしは今まで通り当番制でいいって言ったのだけれど、持っていかないならあたし専用のを買うと言い出したので、大人しく持つことにした。

よっぽどあの人のことが心配らしい。
そんな心配するほどでもないのに。

『なんかあったら絶対俺に言えよ』

朝家を出るときも、そう念を押された。
いつもあたしが家を出る時間はまだ寝てる朔夜が、珍しく起きてると思ったら。

何かなんて、あるわけないのに。
わざわざ言うようなことなんて、起こるわけない。

何があっても、どんなことがあっても。

あたしにとってはそれが普通で、日常なのだから。