本当に数秒、あたしたちは無言で見つめ合った。
そんな異常な状況に気づいて、先に目を逸らしたのはあたしの方だった。
すると、彼は初めて声を発した。
「ちづ」、と。
何で…名前知ってんの?
驚いて、再び彼の目を見た。
「…何…?誰?」
彼は、そのキラキラとした瞳をばあちゃんに向けると小さな笑みを落とした。
「明子とした約束を果たしにきた。」
言ってることの意味が分からない。
全然分からない。
でも、彼の視線の先にいるあたしのばあちゃんの名前は“手嶋明子”だ。
彼は一体――…?
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