「大、丈夫…だから。」


擦れた声でそう言った。



「でも!大丈夫そうに見えないもん!無理しなくても――…。」


「…頼むよ。」



幸生の目は真っすぐだ。

真っすぐすぎて、息が詰まる。



「頼むよ、ちづ。…少し休めば…大丈夫だから…頼む。」




頭を下げる幸生に、あたしはもう何も言えなかった。






それから、神社までの道程を歩き続けたけど、あたしは気が気じゃなかった。


幸生は平気そうな顔してたけど、ときどき息が荒くなったり、ふらついたりしてたから。


それに、何だか焦っているようにも見えた。




必死に神社を目指す幸生には鬼気迫るものがある。




額に滲む汗、歯を食い縛りながら、それでも幸生は立ち止まらなかった。