「ちづ…少しゆっくり…。」


「えー。」


「ちょっと休ませろよ、マジで。」


全く悠は昔からヘタレなんだから。


「しょうがないなぁ。」




あたしは立ち止まり、前を歩いていた幸生に懐中電灯を向けた。


「ねぇ、少し休んで――…あれ?」






幸生がいない。






さっきまでそこに、
そう思って懐中電灯をチラチラと動かすと、木に背を預けて踞る幸生の姿があった。

肩は上下に揺れ、俯いている。



「幸生!?」



駆け寄ると、幸生は額や首に汗を浮かべて苦しそうにしていた。



ついさっきまで何でもなかったのに…。