「…どうかしたの?」


質問には答えず、幸生は悠をガン見したまま動かない。


あたしが困惑していると急に、

「へぇー、そうか。」

と言って笑った。


気が済んだんだろうか。



あとはもう何事もなかったみたいに、さっさと神社へ続く細い道に向かっていく。




「ちょっと待ってよ!」



追いかけようとしたあたしを悠が止める。


「待て!お前さっきから何言ってんだ?」


「独り言だから気にしないで!」


「独り言って…。」




悠の顔が徐々に青ざめていく。




「ちづ…まさか…。」


「何?」


「な、何か…見えてんのか?」



見えてる。
思い切り見えてるけど言えるわけがない。