“幸せに生きる”…。 “幸せに生きる”と書いて、『幸生』。 その名前に込められた思い、願い。 切なすぎる。 じんわりと心に染みて、また涙が零れた。 彼はそれを見て、 「ちづは泣き虫だ。」 と、言って笑う。 その笑顔はキラキラしてて、目が離せなくなる。 あたしは、彼が好きなのだと、実感した。 「…良い名前だね。」 初めて恋に落ちた人とは結ばれない運命なのかもしれない。 あたしは、まるで他人事みたいに、そんなことを思った。