「行きましょう!」
私の手をひいて当たり前に入ろうとする江古田さん。
「ちょっ!ちょっと待ってください!!」
「はい?」
何なの!?この人!!?
初デートでいきなり!?
えっ!?普通なの?それが普通なの!?
…………いや!ぜったい普通じゃない!!!
「あ、あの!ま、まだ早いんじゃ…?も、もうちょっとこう、お互いをよく知ってから…。」
「順番なんて、この際いいじゃないですか。セックスすれば、きっと心の距離も縮まります。」
ムチャクチャだ!この男っ!!
何が心の距離よ!?ただヤリたいだけだろっ!?
江古田さんは私の手を引っ張る。
何とか振りほどこうとするのに、力じゃ歯が立たない。
「いいじゃないですか。処女ってわけでもないんだし。」
冗談じゃない!!
こっちはその処女だっ!!!
「あっ!放してください!江古田さんっ!!」
私、バカだ。
こんなイカれた暴走男っ!!
「江古田さんっ!放してっ!!」
必死の抵抗も、周りから見たらカップルの痴話喧嘩くらいにしか見えないのかもしれない。
「誰か……!ヤダ――っ。」
その時、強い力に引っ張られて私の身体は後ろに向かって浮いた。