「好きなんスよぉ〜!
もうっ!俺、マリちゃん大好きなんスよぉ〜〜!!」
ぐでんぐでんになって絡む、
酒の力を借りて本人のいないところで告白とは。
「でも、マリちゃんって彼氏いるでしょ。
確か…タッくんだっけ?ほら、店にも来たことあったじゃない?長身でロン毛で色黒の。」
マリちゃんの彼氏はワイルド系だったなぁ。
野性的な感じっていうか。
「…どーせ俺はチビですよっ!」
拗ねたのか?拗ねたのか?………拗ねたんだな。
「…俺、マリちゃんはマジなんです。」
酔っ払った山崎くんから何度も聞いてきたセリフ、「マジなんです。」。
どうやら、山崎くんは気づいていないらしい。
女の目線から見ると、分かることがある。
マリちゃんは山崎くんの気持ちに気づいてる、
気づいてて相手にしていないんだ。
とゆーか、むしろ手のひらで上手く転がしている。
「芳乃さん、俺どうしたらいいっすか?」
「へっ?」
「これ、マジな恋愛相談!
経験豊富な大人の女から見て、告ってイケると思いますか?」
身を乗り出して問う山崎くん、その瞳はいつになく真剣。
……でもさ。
私に聞くなよぉぉーー!!
恋愛したことないヤツに恋愛相談するなっ!
“経験豊富”じゃねぇーし!!
恋愛のことなんか……こっちが聞きたいわっ!!