大好物のビールを目の前にして、この私が我慢できるはずもなかった。




ゴクッ、ゴクッと飲みだすと、

「よっ!酒豪店長!」

と別に嬉しくもない事を山崎くんは言ってくれる。


テーブルを挟んだ向かいの席で、ケラケラと笑いながら一人ハシャいでいた。






一方で、隣同士に座った私と佐倉くんの間を流れる気まずい空気。




仕事なら未だしも、私はあのキスを悔しいけど気にしていたから。


こういうプライベートで何を話したらいいのやら。





けれど、佐倉くんは涼しい顔をしていて――それに、なぜだか腹が立つ。




意識してるのは私だけか、そう思うと胸の奥がズキリと痛んだ。








何も知らない山崎くんは、
よく食べ、よく飲み、よく喋った。





その話題のほとんどは恋愛について。