橋を渡りきり、見慣れた街の見慣れた景色。 マンションの下の街路樹はイルミネーションで飾られていて、私はそこで路木さんの車から降りた。 「送っていただいて、ありがとうございます。」 「今さら他人行儀だな。」 ふっと笑う路木さんに私も笑って言った。 「また飲みに行きましょうね!」 「…あぁ。」 切なそうな顔をした路木さん。 その表情が、 どうしてかいつまでも私の脳裏に焼きついていた。