ぐだぐだと飲んで、語って。
居酒屋を出る頃には、もう真夜中だった。
路木さんの車の助手席に乗り込んで私は言った。
「飲み過ぎましたぁー!!」
「うん。知ってる。」
笑みを零す路木さんの横顔はやっぱり美しい。
美しい男だ。
もしも路木さんが彼氏だったら、きっと幸せだろうなぁ。
尊敬する理想の上司は、理想的な男。
でも、現実の中で路木さんを男として見たことはない。
高校生の頃から仕事を教えてくれたり、面倒を見てくれた彼は、どちらかといえば恩師のようなものなのだ。
車のエンジンをかけた路木さんに、私は言った。
「天井開けてくださぁい。」
「…寒くない?」
この真冬にオープンカーにしてくれという私のワガママに、路木さんは苦笑した。
「酔いを覚ましたいんですー。」
「はい、はい。」
幼い子供を宥めるような口調で、私のワガママを聞き入れてくれた。