少し長めの黒い髪、薄茶色の瞳にスッと通った鼻筋。
見惚れてしまうほど綺麗な顔をした美形……イケメンというより美形という言葉が似合う。
あまりにも美しい顔をしているから、いつだったか聞いたことがあった。
「ハーフですか?」、と。
路木さんは困ったように笑って、クォーターだ、と言った。
母方の祖父がフランス人らしい。
38歳とは思えない若さ、
大人の男の余裕と色気を持っていて、性格も温厚。
完璧な男だと思う。
きっとモテる。
いや、絶対モテる。
なのに路木さんは未だに独身だった。
「私、結婚相談所に行ったんです。」
程よくアルコールが回ってきて私は言った。
「私の写真とプロフィール見て気に入ってくれた方がいて、今度会うんです。」
「どんな人?」
「…分かりません。まだ会ってないから。」
今までもずっと、時に友人、時に兄のように私に寄り添ってきてくれた路木さん。
でも、さすがに27年彼氏がいないなんて事は口が裂けても言えない。
単なる結婚に焦る独身女に見えていればいいが、勘の良い路木さんだ。
私の最大のコンプレックスにとっくに気づいていそうで、時々怖くなる。