「路木(ミチキ)さん!」
「久しぶり、芳乃ちゃん。」
長身でシュッとした、スーツがよく似合う大人の男は小さく笑う。
「久しぶりって、この間来てから1ヶ月くらいじゃないですか。」
「あれ?そうだっけ?」
優しい眼差しのままとぼける路木さん、
その表情は彼の方が年上なのに少年っぽく映るから不思議だ。
私は胸を弾ませる。
「じゃあ!今夜は行きますか?」
そう言って、グラスを掲げるマネをする。
路木さんは、
「運転する方の身にもなれよ。」
と苦笑する。
路木さんがいれば外で好きなだけ飲める。
代行を頼まなくていいし、ベロベロになった私を十分知ってくれている。
だから、私は胸を踊らせる。