* * *――…






土曜日。

昼前に出勤すると、ハピーズ飯崎店は混雑していた。


店まで歩きながら熱気を肌で感じて、さすがに土日は凄いなぁ、と思う。




一度、従業員用の通路に入って『みかづき屋』まで辿り着くと、店内の様子は異様だった。



狭い店にはたくさんのお客さんがいるものの不自然なほど静まり返っている。


バカバカしい有線の歌謡曲が、この場に不釣り合いだった。





そして、まるで息を呑むようにお客さんたちの視線はレジに集中している。







……何だ?







すると、私に気づいた香織さんがあたふたしながら駆けてくる。


その顔は青ざめていて、私にも緊張が走った。





「どうかしたの?」


「佐倉くんが…お客さんとモメちゃってて…。」


「はぁ?」




香織さんは酷く狼狽えていた。