事故にあったようなものだ。
災難、災難。
忘れてしまえ、あんなこと。
私は自分に言い聞かせて、なかったことにしようとした。
大体、男慣れしてないから、
男の一人もいないから……この歳にもなって年下オトコなんかにからかわれたりするんだ。
ビールをゴクゴクと飲み干して、泥酔状態で自分の中の自分と対話する。
あれから、佐倉くんは何事もなかったように振る舞っている。
私が置き去りにした眼鏡だって、翌日にはバックルームにちゃんと置かれていた。
……ムカつく。
これじゃ私だけが気にしてるみたいだ。
……あんなキス、しておいて。