横断歩道。
目の前を通りすぎていく車の群れ。
信号で初めて立ち止まると変に冷静になって、身体が震えだした。
足がガクガクとして立っていられず、私は雨の中でしゃがみ込む。
氷のように冷えた手は小刻みに揺れる。
息苦しさも、身体の奥のずっと奥の騒めきも残ったまま。
舌に残るは生々しい感覚。
何もかもリアルな現実だったこと、
ここへきて受けとめると震えが止まらない。
滲んだ赤信号が、青に変わる。
でも、私はしばらく動くことができなかった。
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