「んー……――。」





涙が止まらない。


身体の中で甘く疼く、何か。




自分の心や身体で起こること、全てがただ怖かった。

こんなもの、私は知らない。






「っ、」




唇が離れ、ゆっくりと私は解放される。


けれど、支えるものが掴まれた手首だけになって、へなへなと床に崩れた。

力が入らない。



「ッ…ハァ……ッ…。」


ボロボロと、とめどなく落ちる涙。




目を細めて微笑する佐倉くんは、その涙を見て狼狽える。


「え…。」


「…ッ……。」




手で口を覆い、必死で叫びだしてしまいそうな衝動に耐える。





私の頭上で佐倉くんが呟いた。



「……もしかして…。」


「ッ!」





何で、こんな、だって、な、んで――!!




力を振り絞って立ち上がり、私は佐倉くんの頬を殴った。


バチッ、と異様な音が響く。










「……ッファーストキスだったのにっ!」