何を言ってるんだろう、この子は。
それが仕事中にメールをしていい理由になるとでも思ってんのか?
自分の中で勝手に作り上げていた佐倉くんのイメージが、ガラガラと音を立てて崩れていく。
「それに、暇だったんで。」
「…終わったなら、終わった時に言ってくれる?…次からは、ね……。」
キレるな自分……耐えろ、自分……。
「あぁ、はい。あ、俺休憩ですか?」
「…うん。」
私が答えると、佐倉くんはグッと背筋を伸ばした。
「じゃ、休憩行ってきまーす。」
佐倉くんは特に何も気にしていないふうで、それが余計に私を苛立たせた。
「それにしても、ここ。暑いですね。暖房のせいかな。」
佐倉くんに対する不信感が膨らんでいく。
真面目な好青年が、今じゃ不真面目な若者にしか見えなくなってきた。
「芳乃さん、行ってきます。」
……何なの…この子。
あの人懐こそうな笑顔は消え、皮肉めいた意地悪そうな笑みを浮かべて私の横を通り過ぎる。
もうすでに佐倉くんを採用したことを、少し後悔し始めていた。
勤務中にメール、
仕事が終わっても報告しない…。
何食わぬ顔で「すみません」、たいして気にもしていない。