「これを、それぞれ3箱ずつ作ってほしいの。やり方は分かった?」
「はい。」
「分からないことがあったら言ってね。」
私はバックルームを後にする。
本来ならラスク系はチョコフォーやフラワートップと違ってトングを使わないから、レジ担当がレジを見つつやる仕事だが、まぁいいか。
今日は山崎くんと同じ遅番で入ってもらってるから、お客さんが少なくなったらレジを簡単に教えて……あっ、レジ締めの作業と入金方法も説明しなくちゃなぁ。
私は佐倉くんをちらりと盗み見る。
与えられた初仕事を黙々とこなす佐倉くん。
器用そうな子だし、大丈夫かな。
「カッコいいですね。佐倉くん。」
レジで別の創り物をしていたマリちゃんがポツリと言った。
「ど〜しよ〜。恋しちゃうかも〜。」
……だから、マリちゃん彼氏いるでしょう…。
何だかぼんやりとした様子のマリちゃんに何と言っていいか分からず、私は苦笑した。