目覚めると、見慣れた天井が広がっていた。
カーテンの隙間から漏れる光が、夜明けを告げる。
いつもと変わらない日常。
ただ、いつもと違うのは、俺の隣で眠る彼女の存在。
丸くなって眠っている芳乃さんは、まるで猫のようだ。
包まっているシーツから覗く細い肩、雪みたいに真っ白な肌。
日本を発った頃よりも伸びた髪が線となり、白いシーツに絵を描く。
芳乃さんの横顔にかかった、その髪に触れる。
あまりに柔らかくて、零れ落ちてしまいそうだ。
俺は髪を指先で梳きながら弄ぶ。
世の中に、こんなに愛しいものがあったなんて。
ひっそりと、俺は笑みを零した。