唇が離れると、互いに熱っぽい吐息がもれた。



脳髄から溶けてしまったみたい、酷くぼんやりする。





「続きは、帰国してから聞かせてください。」


「…っ…帰国って…そんな先…。」




何年も伝えずに帰ってくるまで待ってろ、とでも言う気か?


だとしたら鬼だ。

ぜったいドSだ。

どこまで性悪っ!



「私っ!いくつだと思ってんのよ…キミが帰国する頃なんてオバさんになってんでしょーが。」


思わず睨んでみると、なぜか佐倉くんはキョトンとしている。




「…芳乃さん、何か勘違いしてません?」


「は?」


「俺、留学期間半年ですよ。」


「…は?だって…退職…。」


「退職なんかしないっすよ。帰ってきたらまた働きたいんで休職のつもりですけど。」


「……はぁ!?」


「言ってませんでしたっけ?」



言ってねぇーよっ!!





なんかっ!なんかムカつくっ!本当ムカつく!!


うわぁ!?えっ何コレ!?恥ずかしっ!!