「あのさ。」
「…はい。」
「…キミ、ズルいよね。」
「……へ?」
「男って、皆そんな勝手な生き物なの!?こっちが爽やかな好青年とか思ってれば実際はけっこう不真面目で、おまけにいきなりキスとかするし、仕事も大人もナメてる上に二重人格で、そうかと思えば急に優しかったり、告白なんかしてきちゃったりさっ!」
「ちょ、ちょっと待っ…芳乃さん!?」
「そのクセこっちがちょ〜っとトキメいたりなんかしたって気づいてんだか、気づいてないんだか!
ぜったい性悪だし、天使みたいな顔してるクセして中身ぜったい悪魔だしっ!
テキトーなのかと思えば繊細でっ!いざ、こっちがその気になれば勝手に留学するとか何とか?あ〜も〜ムカつくっ!どんどん先に決めてっ!どんどん先に行っちゃってさっ!」
「芳乃さんっ!」
そこで、ハッとした。
一気に喋りすぎて息があがっていた。
失敗した、やってしまった。
「…芳乃さん?」
首を傾げている佐倉くんを見て、思わず頭を抱えて踞る。
佐倉くんは慌てて駆け寄ってきて、
「大丈夫ですか?」
と、呟いた。