もう明かりが消えていたから、帰ってしまったものだと思った。
落胆して肩を落としていると、パチンと電気がつく。
半分だけついた照明が店内を照らし、その中に佐倉くんがいた。
どうやら、暖房を切り忘れたらしい。
佐倉くんは、薄暗い店の中に私を見つけて酷く驚いている。
「芳乃さん!?今日、休みじゃ…。」
「…そうなんだけど。」
そこまで言って、言葉が出てこなくなった。
溢れてくる想いは止めようがなく、それを言葉に変えるのはすごく難しい。
もどかしくて、歯痒くて。
深刻そうな私の様子が佐倉くんの目にどう映ったかは知らないけど、ただならぬ雰囲気は感じ取ったらしい。
佐倉くんは、私の言葉を待ってくれていた。