オレンジ色の光が窓から射し込んで、あぁもう一日が終わるのかと思う。
バルコニーに出て、煙草に火をつけた。
遠くで、学校帰りだろうか、子供の声がする。
夕方って、どうしてこうも切ない気分になってしまうんだろう。
一番落ちつく時間だけど、一番寂しい時間でもあると私は思っている。
嵐のようにやって来た菫は、先ほど嵐のようにショーンと帰っていった。
「お姉、今度会うときはハワイでね」と、気ままな菫らしい別れの言葉を残して。
菫と過ごした、この数日間。
バタバタしていたけど楽しかったなぁ、とぼんやり思う。
「…サクラ・サクラですね。」
馴れ親しんだ煙草の味、仄かに苦いそれが口の中を満たす。
「……春になったら花見…ピクニック、夏は海…。」
オレンジ色の世界で瞳を閉じた。
「愛なんか…恋なんか…――。」