「…お姉、いつまで自分に言い訳して逃げてるつもり?歳のせいとか、大人だからとか、そんなの…もういいじゃん。」
思えば、私はいつもそうだった。
私は私に言い訳して、
言い訳ばっかり上手になって。
「あたしね、ハワイに戻ろうと思うんだ。」
「え?」
「いつまでもお姉に迷惑かけらんないし、ね。
ショーンと仲直りする。あたしね、やっぱりショーンからだけは逃げたくないからさ。」
「…菫。」
「好きな人からは逃げたくないじゃん?向き合っていたいじゃない?
さっ!お姉もほらっ!あたしが持ってきちゃったケーキ食べて〜充電、充電!」
菫が差し出した皿には、イチゴのタルトがあった。
その瞬間、心に溢れだす。
私の中で降り積もった佐倉くんの欠片。
諦めることなんて出来なかった。
なかったことになんて出来なかった。
だって、私はまだ何もやってないもの。