「そっかぁ。マズいのかぁ〜。」


まるで他人事のように言う菫に反省の色はない。



何がマズいのか、どうしていけないのか、それが分かっていないんだろう。



その時、その時に、いちいち相談したり報告するのは、菫にとってはきっと意味がないんだと思う。

思った瞬間にはもう行動していて、後先なんて考えない。




そういう潔さを持つ菫は単純に好きだ、
そして単純に羨ましい。

私とは、正反対だから。





「…それで、結婚してたって報告にきたわけ?」


「う〜ん、まぁそれもあるんだけど…。」


「ん?」



……まだ何かあるのか?


菫は言いにくそうに口を開く。



「…実はね、ショーン…あ、旦那ね、ショーンっていうんだけど、ケンカしちゃって。……まぁ、分かりやすく言うと家出。」


「…家出?」


「うん。勝手に出てきちゃったの。」






2ヶ月前に結婚したばかりの、つまり新婚の菫は旦那様・ショーンとつまらない事でケンカをして言い合いになり、頭にきた菫は黙ってハワイの自宅を飛び出してきたらしい。



私はまた溜め息を零しそうになったが、無理やり噛み殺して代わりに煙草を吸った。


やれやれだ。