昔ながらの懐かしい駄菓子屋をイメージした店の中は、こだわりが詰まっている。



壁に貼られた昭和の映画やアニメのポスター、
高い所にディスプレーしている昔のおもちゃ、天井近くの柱に飾っているお面の数々。



ここだけ見事にタイムスリップしたような空間を再現している。





バイトの面接の日、初めて店を見た時は衝撃を受けたものだ。





そして、とてもワクワクしたのを覚えている。


レトロで温かくて、
大人も子供も笑顔に溢れていて。


こんな所で働けたらって心が踊った。



何もかもが新鮮で、でもどこか懐かしくって、
見ているだけで幸せな気持ちになったんだ。







「路木さん。」


「ん?」


「私、今でも金平糖が一番好きなんですよ。」



路木さんはパソコンの画面から目を放し、私を見つめる。



「でも、金貨チョコも、あんこ玉も好きなんです。」


「…うん。」


「昔は苦手だったけど、マシュマロも好きになりました。」


「うん。」


「私、みかづき屋が大好きなんです。ここに初めて来た日に感じた、キラキラしたものは、今はもっとキラキラして光ってます。」





モロッコヨーグル、

ミルクキャラメル、

ソースせんべい。



ふ菓子に、

わた菓子。


おもちゃの指輪、

おもちゃのピストル、

でんでん太鼓。









「私、きっと、みかづき屋を捨てることなんて出来ません。」






ここには、私の大好きな物が詰まってる。



大切な部下がいる。

大好きな物に囲まれて、大切だと思える人たちと仕事ができる。





それは、幸せなことだ。