「ハァ〜切ない…。」
こたつに入り、胡坐をかいて、片手にクッション、片手に缶ビール。
王道純愛ストーリーを突き進むドラマに思わず溜め息。
「切ない!切ない!切ないよぉ〜!!」
もちろん、これは独り言。
切ないと嘆いても共感してくれる相手はいないので、クッション相手に悶えている。
良い感じに酔っ払ってきた証拠だ。
こんな生活を、もう何年も続けている。
けれど、これが当たり前なのだから、たいして気にもしていない。
仕事中心の、アラサーの現実なんてこんなもんだ。
それに、意外と楽しかったりもする。
自由気ままなお一人様、
やりたい事は出来るし、周りに縛られる事もない。
でも、それでも。
やっぱり思うのだ。
「あぁ…恋がしたい。」
テレビの中で繰り広げられる涙、涙のロマンス。
運命に翻弄され、多くの壁にぶつかって、それでも恋い焦がれる男と女。
私も――私だって、嵐のような恋がしたい。
憧ればかりが強くなっていく、
それは確かに事実だった。