「あっ!そういえばさっ。」 聖子さんは、突然何かを思い出したように声を上げた。 「芳乃、路木さんのこと聞いた?」 「え?」 「転勤の話よ。」 「…え?」 転勤………? 「今度、新事業でカフェの計画があるでしょう?ほら、チェーン展開してるレストランがノッてる事もあって。 その新プロジェクトの責任者として転勤になるらしいの。」 「…どこへ?」 「イタリア支社。」 ――頭が、真っ白になった。