「芳乃さんっ」、と佐倉くんが私の名前を呼ぶ。
「芳乃さんっ、今日も愛してますよ」、と。
冗談ぽく、最近じゃ挨拶代わりのように言う佐倉くんに、私はもうタジタジだった。
素直に赤面する私を見て、
「かぁわいい〜。」
とハシャぎ、
恥ずかしくてキレると、なぜか楽しそうに笑う。
佐倉くんのそういう感じは店でも変わらなくて、私は香織さんや山崎くんから冷やかされるし…。
本当、冗談じゃないよ。
「ずいぶん懐かれましたねぇ。」
そう言って笑う香織さん。
私は何だかどっと疲れている。
「あー、そうだ。香織さん、明日からお店の事よろしくね。」
「あー明日からでしたっけ。了解でーす。」
「明日、何かあるんすか?」
私と香織さんの会話にひょこっと首を突っ込む佐倉くん。
やれやれという感じでいる私と、佐倉くんを交互に見て、香織さんはクスクスと笑いだした。