「…私も強いお酒飲むっ。」
「えっ?」
「私のが緊張してるんだからねっ!」
「…芳乃さん、そこ競い合うとこじゃないです。」
「いいのっ!」
上手いこと言えない私は、精一杯の照れ隠し。
やって来たカクテルは、チョコレートマンハッタン。
キュートな名前に、
見た目もチェリーを2つスティックに刺して飾ったブラウンのお酒だった。
でも、可愛い外見を裏切る強いお酒。
「飲み過ぎないでくださいよ。」
「いいじゃん、いいじゃん♪」
「俺は好きな女の介抱してやるほどお人好しじゃないんで…襲うぞ、コラ。」
「出来るもんならやってみろ、コラ。」
私はご機嫌で、
こんな夜も悪くないと思っていて。
それはなぜかっていうと、
佐倉くんだからで。
私はもう気づいていた。
佐倉くんと一緒にいると、私は私でいられるのだ。