光と影が天井から降り注ぐ水槽のトンネルの中で、佐倉くんに手を握られて私は今さらビクッとしてしまった。
佐倉くんは驚いたように、
「どうしました?」
と、私の顔を覗き込む。
「ちょ…びっくりしただけ。」
さっきまで難なく手を繋いでたっていうのに、意識し出した途端に可笑しくなる。
気まずさから俯いていると、佐倉くんの手は先程よりもゆっくりと私の手を握った。
「放しませんよ。」
そうキッパリと言い放ち、でも冗談めかして、
「芳乃さんって迷子になりそうだから。」
と、からかうように言う。
「…な、に、それ。」
「だって意外と天然だし。」