地に足がついていないような状態から覚めたのは、ザバァンと水が飛び跳ねて散った時だった。



私はハッとする。





観客たちの拍手、隣に座る佐倉くんも楽しそうに手を叩いている。


私も慌てて拍手をした。




イルカのショーを見ていたのだ、と思い出す。







イルカは水の中を自由自在にスイスイと泳いでいた。


大きなジャンプをすると歓声が沸き起こり、音を立てて水が跳ね上がる。




「すっげぇ!ヤバいっすね。」



佐倉くんは、まるで少年のように瞳を輝かせていた。






そして、私にはやっぱり佐倉くんの後ろを星々が流れているように見えてしまう。



……私の心臓の方がヤバいっす。


聞こえないように心の内で呟いて、イルカよりも佐倉くんに見惚れる始末だった。