私が熱心に見つめていると、佐倉くんはいつの間にか水槽の反対側に回っていた。
佐倉くんもまた、ふわふわと漂うクラゲを楽しそうに見ていた。
小さな笑みを落とす、
その表情から目が離せなくなる。
そんな私の視線に気づいたのか、佐倉くんの瞳が私を捕らえた。
水槽越しに見つめあう、
時間にすればほんの数秒だったかもしれない。
でも、
私には永遠のように思えた。
佐倉くんの眼差しは優しくて、
落とすような小さな微笑も、私をとろけさせてしまうには充分過ぎた。
ぼぅっとして脳内お花畑状態の私の手を、佐倉くんはすんなりと掴む。
見上げれば、行こう、と言って笑った。
私の瞳が映す佐倉くんの背景にはキラキラの流れ星が降り注ぎ、パチパチと幾つもの星が煌めいている。
もう、どうしたって王子様にしか見えなかった。