* * *――…
澄み切った冬の空が広がっていた。
ピンと張り詰めた冷たい空気の中を、私は約束の場所まで歩く。
昨日の夜から今日の服を何度も鏡の前で合わせて、わざわざ新しいブーツまで買ってしまったということは、私だけの秘密だ。
駅に到着すると、佐倉くんは既に待っていた。
その姿を目にしただけで、恐ろしく単純な私の心臓は飛び跳ねる。
一瞬だけ、逃げ出してしまいたい、という思いが頭を過ったものの打ち消して、
佐倉くんの元へと歩み寄った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…