あの日は、とにかく告白されたってことに浮かれて身も心もフワフワとしていた。




それが次第に落ちついてくると、今度は怖くなった。




どうしていいか分からなくて、不安で、不安で。







私は、きっとたぶん、
佐倉くんに惹かれているけれど、認めることが怖かった。



恋愛なんてしたことがないから、一歩踏み出す勇気がない。


恋愛って…恋愛って何!?

私はどうしたらいいの!?




自分の手には負えそうもなくて、あれから佐倉くんのことも変に意識してしまって…。


でも、それでも、頭の中は佐倉くんで埋め尽くされていたりする。



横顔や声。

息遣いだったり、匂いだったり、
心臓の、どくん、どくんという音。






一瞬一瞬が切り取られたみたいに、私は覚えてる。










「恋愛にも教科書があったらいいのに…。」




学校で使った授業の教科書みたいに。


仕事のマニュアルみたいに。


そうしたら、悩んだり、迷ったりしないんだろう。





「教科書なんかあったら、つまんないでしょーがっ。」



若菜のツッコミが飛んで、私はやっぱり何も言えなかった。