* * *――…





香織さんに確認の電話を入れると、佐倉くんは無事に店に戻ってきたらしい。




私はマリちゃんの家を出てから南沢町店に戻り、残してきた仕事を片付けた。




「大変だったな、今夜は飲みにでも行くか?」
という路木さんの誘いを断って、私はそのままハピーズ飯崎店へ向かった。


特に用事があったわけでもない。

ただ、何となく気になったから。



マリちゃんの件もあったし、何かしら仕事に遅れが出ているかもしれない。








ハピーズ飯崎店に着いた頃には、もう閉店した後で、私は車から降りると白い息を零した。



薄曇りの夜空に埋もれるようにして浮かぶ満月が、私を見下ろしている。