「…佐倉くんが…なんて……っそんなの、有り得ないって。」
「どうして?」
マリちゃんの瞳は、まっすぐ私に疑問を投げかける。
だから、私はすぐに言葉が出てこなかった。
だって、私だよ……?
「…っか、からかわれてるだけよ。私なんかっ。」
「芳乃さん。」
諭すように、マリちゃんは言った。
「佐倉くん、最近変わった気がするんです。
芳乃さんは南沢町店に行ってることが最近は多くて知らないかもしれないけど。
最初の頃みたいに無気力じゃなくなったし、お客さんに目を配って気遣っていたり。この間なんて、お店に来た子供たちにベーゴマの遊び方を一緒に遊びながら教えてて。」
「…佐倉くんが?」
「はい。佐倉くんの視線の先には、いつも芳乃さんがいました。
佐倉くんを変えたのは、芳乃さんですよね?」
「…そ、んな……。」
「それに!芳乃さんっ!」
マリちゃんは、強い調子で言う。