私の声が、部屋の空気をガラリと変える。
感情的にならないと言い聞かせていたことなんて、すっかり忘れ去っていた。
「アンタねぇ!甘ったれんのもいい加減にしなっ!!
“どうって事ない”だぁ!?こっちがあるんだっつーの!!」
涙を流しながらも私を見上げて呆気に取られるマリちゃん。
玄関先で固まってしまった佐倉くん。
感情に任せて立ち上がった私は、マリちゃんに向かってまくしたてた。
カァッとなって歯止めがきかない。
爆発してしまった思いが一気に流れだす。
「“どーせフリーター”だろうが、“たかがバイト”だろうが、アンタ社会人でしょっ!?
辞める1ヶ月前には報告がウチの店のルールだって知ってるわよねっ!?ローテーション!!シフト組んで店回してんだから突然“辞めます”、“はい、そうですか”じゃ話になんないのっ!!
ましてや無断欠勤なんて言語道断!!
アンタがマジで辞めるって言うんなら、私ももう止めないっ!でもねっ!!人様に迷惑かけんのだけは止めなさいっ!!
私はねっ!中途半端は絶対許さないからっ!!!」
シンと静まり返る部屋の中。
時計の針が淡々と進む音だけが響いている。