「マリ…佐倉くんに一目惚れで、すんごい好きになっちゃって…。だっで、だって、超イケメンですよ!?誰だって惚れちゃうじゃないですかぁ!?
マリ、いっぱい悩んで、悩んで…それでタッくんとも別れて佐倉くんに告ったんです!なのに…なのにぃ〜〜うぅぇ〜。」






まくしたてるマリちゃんを見つめて、私は完全にフリーズしていた。






フラれたから、仕事を辞めたい??


……ゴメン、理解できない。




つーか、そんな事で??


いや、だって、もっとこう仕事を通して言い争いになったとか、仕事に関してのトラブルとかを想像してたから。

いや、だって。



それが……まさかの恋愛系?




「有り得ないですよぉ〜!ぜったい有り得ないぃ〜!!マリ、告ってフラれた事なんか一度もないのにっ!!
なのにっ!マリがフラれるなんてぇぇ〜もぉ佐倉くんに会えません〜〜恥ずかしすぎて、気まずすぎて……もぉ無理です〜〜!!」


……今、軽く自慢入ってなかったか?オイ。





「もぉ辞めます〜無理でずぅぅ。」


「…気まずいのは分かるけど、せっかく覚えて慣れた仕事でしょ?もったいないわよ。」






その時だった。


バタバタと走ってくる足音が聞こえたかと思えば、部屋の玄関扉が勢い良く開いた。