「コーヒーでいいですか?」
「ん、ありがとう。」
アパートの外観はマリちゃんのイメージから程遠かったけど、部屋の中はイメージ通りだった。
全体的にピンクで統一されていて、溢れんばかりのぬいぐるみで埋めつくされている。
白いレースのカーテンに、いわゆるお姫さまベッド。
いかにもマリちゃんらしい。
「顔色が良くないようだけど大丈夫?」
コーヒーを運んできたマリちゃんは青白い顔をしていた。
「もしかして体調が悪いとか?」
テディベア柄のピンクのパジャマに身を包んでいたマリちゃんは首を横に振る。
随分と塞ぎ込んでいる様子で、いつものポジティブで明るいマリちゃんからは想像もできない姿だった。
元気いっぱいなテディベアのパジャマとは対照的に俯いたまま、マリちゃんはぺたりと床に腰を下ろした。
髪はボサボサで寝癖が立っている。
すっぴん、のようだけど、透き通るような綺麗な肌をしていた。
もともと色白な子だけれど、今日はそれが逆に痛々しく感じられた。