寝すぎたかのように、すごく気分が悪かった。睡眠は、そんなにとれていないはずなのに。
叫んでいるみたいにニュースを読み上げる、ニュースキャスター。
リモコンで一気にボリュームを下げながら、お母さんが、
「あらいやだ、このニュース、怖いわねぇ」
と、つぶやいている。
目の前にある、皿。
焼きあがったトーストは、いい色を通りすぎて、焦げていた。
トーストの黒くなった部分を、スプーンのハシでガリガリとりのぞくのに必死になりながら、わたしは、事件の晩の、アキからの電話を思い返す。
「やばいやばいっ!大ニュース!!」
普段ならとっくに寝ついている時間をすぎてから、かかってきたアキの電話。
アキの声は興奮ぎみで、その大ニュースとやらが、いいことなのか、わるいことなのか、それを聞いただけではわからなかった。
やばい、っていう言葉も、いい意味にもわるい意味にもとれるし──って、今回の電話の内容は、わるい意味だったのだけれど。
アキは、興奮した声のまま、話した。