人も疎らな早朝の駅、
千早は
「じゃあ、行くわ。」
と、いつもと変わらず無愛想に言った。
「おい。」
「あ?」
「……食い過ぎて腹壊すなよ。」
「あぁ。」
「桜子サマに毒吐くな、マズいぞ。」
「あぁ。」
「…正体バレたら、もっとマズいぞ。」
「わぁーてるって。」
「……何かあったら連絡しろ。」
「無理。」
「…っメールでも、電話でも――。」
「だから無理だっつの。俺、ケータイ持ってねぇもん。」
「…………。」
――俺は何を言いたいんだろう。
「――千早。」
「だぁー、まだあんのかよ。」
「……帰ってくるよな?」
「…………。」
「帰ってこいよ――。」
千早は、クスクスと笑った。
「みーんなして心配しすぎだよ。」
「…………。」
「帰ってくるさ。
俺は、壱とまた唄いたいからな。」
それは、まるで殺し文句のような。
心臓が五月蝿い。