「うおぉぉーー!!」
千早が立ち去ったリビングで、梓月は呻いて頭を抱えている。
「なっ!?なっ!?大丈夫だよなっ!?あー、俺やっぱついてこうかなぁ……。」
「梓月は明日は劇団の稽古があるでしょう?」
香住はコーヒーを啜りながら言った。
すると、梓月はテーブルに額をつけてうなだれる。
「…お前ら、心配じゃねぇのかよ?」
「…一泊だけのことですからね。」
「…千早、ちゃんと帰ってくるって言ったヨ?」
なんとも微妙な空気が流れ、それを打ち消すように梓月はむくりと起き上がった。
「壱は?」
「は?」
「壱はどうなんだよ!心配じゃねぇのかよ!?」
「……別に。」
別に。
そう言いながらも、俺は胸の奥がぎゅっと縮んでいくような気がしていた。
明日、アイツはいないらしい。