すると、リョウは俺の肩に腕を回す。
ギュッと引っ張られて、俺の頬に柔らかいものが触れた。
騒々しかった梓月が固まり、壱は目を丸くする。
俺は頭を真っ白にしていた。
その柔らかいものがリョウの唇だと気づくまでに、少し時間がかかった気がする。
「千早ってイイ奴だネ☆」
「…………。」
「ボク、千早だぁいすきだよ!」
そう言って、リョウは俺に抱きつく。
さっきまで泣き顔だったクセに、今じゃすっかり笑顔だ。
ギューっと俺を抱きしめるリョウを引き剥がそうとする壱。
「リョウーっ!離れろっての!!」
ギャーギャーと喚く梓月。
「リョウ!テメェっ千早に触んな!!ゴラァ!!」
呆れ顔の香住サン。
「みんな元気ですねー。」
俺はといえば、リョウに抱きつかれながら頭を抱える。
冗談じゃねぇぞ、おい。
マジで変人ばっかじゃねぇか…。
心の中で文句を言いながら、でも。
俺は笑っていた。
それは、他でもなく。
楽しかったからだろう。